新型コロナウイルス禍に翻弄される福祉現場

新型コロナウイルス禍に翻弄される福祉現場

この記事を綴っている2020年4月現在、全世界が新型コロナウイルス禍を中心に回っているといっても過言ではない状況にあります。

振り返れば1月末、中国は湖北省武漢市で発生した謎のウイルスは、従来のインフルエンザ同様、いずれ終息を迎えるものと世界はタカをくくっていました。日本も例外ではありません。

ところが、それから3ヶ月が経過した現在もなお謎のウイルスは猛威を振るい続け、政治・経済・文化・娯楽、それらヒトの社会活動に甚大な打撃を与えています。

もっとも、ここまで綴ったことがらなど、皆さんにとっては先刻承知でしょうが(各自身をもって思い知らされているコトでしょう)、それどころか命の危機に晒され続けています。

そして、労働者としての視点をクローズアップすると、コロナウイルスの影響を受けていない職種など皆無。もちろん、われわれ障害者ケアマネにとっても例外ではありません。

 

国が示す「あるまじきダブルスタンダード」

幸いにも、甚大な被害を被っている諸外国に比べれば感染率も死亡率も比較的抑えられているわが国ではありますが、人種や性別を問わずコロナウイルスは容赦なく襲ってきます。

恐るべきは、その感染力であります。政府は未だに空気感染のおそれについて明確な指針を示していませんが、どう考えても飛沫感染でアレほど感染しまくるとは考えづらい。

日を追うごとに被害が拡大していく中、厚生労働省は相談支援事業者に1つの通達を出しました。

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課からの「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に係る 障害者(児)への相談支援の実施等について」であります。

令和2年2月25日付けで通知されたのは、「令和元年 台風第19号による災害に伴う障害者(児)への相談支援の実施等について」をもとに、以下の対応を許容したものであります。

・サービス利用計画の実施状況の把握(モニタリング)については、電話等により本人または家族へ確認したことを記録することをもって行うこと を可能とする

・サービス担当者会議についても、 各サービス担当者への電話や文書等の照会により行って差し支えない

解説しますと、モニタリングは本人の居宅等で行うこと、サービス担当者会議は障害福祉サービス提供事業所のスタッフを招集して行うことが規定されています。

これらの規定は絶対でして、例えば、自宅訪問せず電話でヒアリングし、それを「自宅訪問により本人と面談を…」などと報告書を作れば虚偽記載で処罰の対象となるのです。

しかしながら、こうした規定はコロナウイルス感染の危険性を伴う、いわゆる「3密」に合致した環境下に本人・家族・障害者ケアマネを置くコトになります。

そこで、コロナウイルス禍が終息するまでの間、以上のとおり柔軟な対応によって計画相談支援を行うよう指示が出されたのでした。

ところが、それからほどなく、今度はモニタリングの柔軟な対応についての取り扱いが通達として送信されてきました。支援者をリスクに晒す、にわかには受け入れがたい内容でした。

要約すると、本人あるいは家族からコロナウイルス感染のおそれから自宅訪問を拒否された場合、本人や家族が発熱等の症状がある場合についてのみ柔軟な対応を認めるというものです。

つまり、国は3つの密、密閉・密集・密接を回避せよと再三訴えているにもかかわらず、われわれ障害者ケアマネには3密のリスクに晒されながら仕事を続けろと言っているのです。

厚生労働省からすれば、われわれ障害者ケアマネの仕事はいわゆる「不要不急」には該当しないというコトなのでしょうか。

われわれ障害福祉従事者が休業するというコトは、サービス利用によって地域あるいは施設で生活している障害児者にとって死活問題になります。

しかしながら、われわれ障害者ケアマネもフツウの人間です。いつ、感染してもフシギではない。

だからこそ、事態が終息するまでの間、電話や電子メールによるヒアリングによって柔軟なモニタリングを行っても良いとの通達をジリジリしながら待っているのです。

裏ワザで厚生労働省の通達を逆手に取って、合法的にわれわれ障害者ケアマネの都合がイイようにやろうと思えばできます。

例えば、コロナウイルス感染のおそれがある話を強調し「自宅訪問ではなく電話による聞き取りでかまいませんよね?」と上記の条件に当てはまるよう誘導するのです。

そして「本人からコロナウイルス感染の危惧について言及があり、自宅訪問を拒否されたので…」とモニタリング報告書を作成して障害福祉課へ提出すればイイ。

誘導尋問ですが、結果として本人が「自宅訪問を拒否」したコトになるので合法なのです。

しかしながら、本人や家族がわれわれ障害者ケアマネの来訪を心待ちにしており(外出自粛で話に飢えているケースも少なくない)、その場合は通常どおり自宅訪問となります。

「うちは大丈夫ですし、ゼロさんもお元気なら、どうぞお待ちしています。いつですか?」と。

コロナウイルス禍の中、それでも自宅訪問を快く承諾いただけるのはケアマネ冥利に尽きる話なのですが。

 

診療報酬の倍増に異論はないが、介護報酬の見直しも

厚生労働省から計画相談支援の柔軟な対応について許容する旨の通達が届く気配などまるでなく、それまでの間、われわれ障害者ケアマネもまた命を張って日々の仕事をしています。

総理大臣が、新型コロナウイルス診療に携わる医療従事者への処遇改善に取り組むコトを明言し、厚生労働省が条件付きで診療報酬の倍増を決めました。

また、患者の自己負担は発生しない条件で、中等症の患者を受け入れた際の診療報酬も増額とするとの方針も決められたとのコトであります。

このブログでは、政治関連について綴るのを極力避けるようにしてきました。しかしながら今回はどうしても書かずにはおれませんでした。

「医療従事者だけじゃない、福祉従事者だって利用者のために毎日カラダ張ってんだ!」と。

感染者が増加の一途を辿る中、再び公立学校が一斉休校となるコトになりましたが、その間、障害児は放課後等デイサービス等の障害児通所支援を利用します。

また、入浴介助を受けるためにホームヘルパーが自宅訪問する障害児居宅介護を利用する障害児もいるでしょう(さまざまな事情で親が入浴させられない児童もいるのです)。

そしてわれわれ障害者ケアマネもまた感染するおそれと感染させてしまうおそれ、2つのリスクを背負いながらモニタリングやアセスメントのために自宅訪問をしています。

せめてコロナウイルス禍が終息するまでの間、感染の危険を冒して仕事をしている見返りとして、臨時で危険手当などの報酬増額について検討していただきたい。

仕事と生活必需品の買物以外では自宅に引きこもって、感染リスクを極力回避する生活が2ヶ月は続いています。

カネをもらって仕事をしている相談支援のプロとして健康管理は業務の一環、それも当然と考えています。その点に何の異論もありません。

しかしながら感染リスクへの配慮は一切なされず、そのリスクを受け入れた結果で被害を被ったとしても国は一切責任を負ってはくれません。今のところは。

全国民に一律10万円を支給するコトになったと報道されておりました。それも大変ありがたい。

その上で現場の要望ですが、福祉サービスを途切れなく提供するために必要な予算措置についても早急に講じていただきたいと切に願っております。

この国の為政者に、人心を安寧に慰撫する覚悟と気概と慈愛があるコトを期待して。