ギブソン製エレキギターの魅力的なルックス、そのヒミツに迫る

ギブソン製エレキギターの魅力的なルックス、そのヒミツに迫る

フェンダーの3割増しとも思える高価な価格設定とハイフレットの弾きづらさから、おそらく僕が本家ギブソンUSAのレスポール・スタンダードを購入するコトは多分ないでしょう。

ハイフレットの弾きやすさでいえばES-335や58年製のフライングⅤなら問題ないですが、僕の給料が数ヶ月~半年で吹き飛んでしまうのでエピフォンで妥協せざるを得ません。

しかしながら自作エレキギターにハマっていた頃はギブソンモデルばかり弾きまくっていたワケでして、今でも楽器としての使用に耐えうる数本のみ保有しています。

ゴールドトップで塗装したレスポール・スタンダードのコピーモデルとブラックで塗装したES-335はお気に入りの2本で、いずれもバンド練習やライヴで使ってきました。

ホンモノを持たずに本家ギブソンを語るのは烏滸がましい話ではありますが、店頭にて実際に試奏したりコピーモデルを扱ったりしてきた経験はあります。

そこで今回は、ギブソンのルックス面における魅力について存分に綴りたいと思います。

 

直線と曲線を融合させた三次元構造

レスポールやES-335に代表されるアーチトップ構造は、ギブソンというメーカーがこだわるルックス面の魅力が最大限で凝縮されているポイントになります。

アーチトップはヴァイオリンやチェロなど中世から現存する弦楽器に施されている加工で、ボディトップが中心に向かって盛り上がった構造を示します。

アーチトップのエレキギターを横から注視すると判りますが、ボディトップのエッジはフラットな構造で、途中から中央に向かってゆるやかなカーブを描き隆起しています。

この構造のおかげで、フラットトップのエレキギターはコンター加工(上腕部が触れる箇所に斜めに削る構造)が必須ですが、アーチトップは同様の効果が得られるのです。

アーチトップ構造は演奏性に寄与しているだけではありません。むしろ特筆すべきは、この造形によって生み出される流麗な光の反射であります。

レスポールを写真で見ているうちは絶対に気付かないポイントですが、楽器店が撮影した現物写真や実際に楽器店で照明の下で実物を見ると、レスポールの光り方に驚くハズ。

フェンダーはフラットトップ加工が一般的です。ストラトキャスターやテレキャスターのように、どの角度から眺めても一本調子な光り方しかしません。

一方、レスポールやES-335は見る角度によって実にさまざまな光り方をします。直線と曲線、過去の弦楽器をもとに緻密に計算されたフォルムがなせるワザであります。

このような直線と曲線を融合させた造形美というのはギブソンの基本理念でありまして、丸っこいボディデザインのレスポール系ですが、ヘッドのラインは直線的。対比がなされています。

フラットトップかつ直線的なラインが特徴的なエクスプローラーやフライングⅤでさえ、ボディやヘッドの先端はいずれも丸みを帯びたスタイリングで構成されています。

 

木目・デザインともに左右対称に統一

サンバーストというカラーリングはフェンダーのエレキギターでもリリースされていますが、こと美しさという点においては、完全にギブソンに軍配が上がります。

コレは塗装技術の問題ではありません。ボディトップをどのように「見せる(魅せる)か」という両社の解釈の違いに起因するものでしょう。

フェンダーは安価なエレキギターを量産するコトを最優先事項としました。そのため、作業工程が複雑となり人件費がかかるアーチトップ構造やセットネック構造を排除したのです。

フラットトップによるボディ構造とボルトオンネックはこのようにして生まれたのでした。

また、高価なストラトキャスターは2つの木材を貼りつけた2ピース構造ですが、廉価版は複数の木材を貼りつけた3~5ピース構造になっています。

多彩なカラーリングがリリースされているストラトキャスターですが、逆にいえば、塗りつぶしてしまえば、木目や色合いがまったく異なるツギハギ構造を封印してしまうコトができます。

一方、ギブソンは作業工程を簡略化するコトなく、高品質な木材にもこだわりました。

素材となる木目がハッキリ浮き出るサンバースト塗装において、ギブソンは木目の美しさを最大限に演出するためのコストを惜しみません。

最も美しいのは、虎目が浮き出たメイプルをボディトップに貼りつけて塗装されたサンバースト。シンメトリーでありながら虎目の角度を変えるコトによって絶妙なアクセントも演出します。

チェリーだろうがレモンイエローだろうがタバコサンバーストだろうが、アーチトップの三次元的造形美と相まって、まるで宝石のような美しさを具現化するのがギブソンなのです。

 

なめらかで流麗なラインにこだわる美学

ヴァイオリンやチェロなど中世から続く弦楽器と現代のエレキギター、両者における最大の違いは何でしょうか? それは金属パーツの有無であります。

エレキギターはその構造上、ピックアップが必ず搭載されています。また、これらを操作するためピップアップセレクターやコントロールノブなどのスイッチ類も搭載されています。

何より、張られている弦の素材そのものが金属であります。金属弦のテンションに対応するためにペグやブリッジサドルも金属製にならざるを得ません。

ここまではフェンダーもギブソンも大差はありません。ところが、ここから先が両社の違いに。

フェンダーは先述のとおりコスト削減と量産化を至上主義としていましたので、いかに手間ヒマをかけずにエレキギターを製造するか研究を重ねてきました。

その結果、先述したボルトオンネックや、ピックアップやスイッチ類を一体化したピックガードが開発されました。

ボルトオンネックを採用すれば接着剤が乾くまでの時間が不要となりますし、一体型ピックガードを採用すればボディにザグリや穴あけ加工を施すだけで済みます。

当然そうなるとフェンダーのエレキギターは多数のネジが使われるコトになりますし、ネック裏に強度を確保するためネックプレートを挟めるコトになります。

ストラト使いの僕がいうのもナンですが、それ自体はフェンダーのエレキギターの魅力であっても、造形美を構成する上で「1本のライン」であらねばならない箇所に凸凹が生じます。

一方、ギブソンでは極力ネジは使いません。フェンダーに比べて圧倒的に少ない。

特筆すべきはボディ裏側。ボディエンドからネックトップに至るまで凹凸がない1本のラインに。

精密無比な木材加工を必要とする上、接着剤(本物はニカワを使用)が乾くまで固定が必須という手間ヒマがかかるセットネックですが、まるで高級家具の佇まいすら感じさせます。

楽器としての品質だけでなく、ルックス面における品質にすら徹底的にこだわるのがギブソン流。オモテから見てもウラから見ても実に絵になる。

このように、ギブソンの高価な価格設定にはレッキとした理由と信念があるのです。

弾いて楽しむだけならフェンダーですが、眺めて楽しみたいのなら文句なしにギブソンです。