侮るなかれ、エレキギターの重量について

侮るなかれ、エレキギターの重量について

内輪ネタで恐縮ですが、東京在住の大学時代の同期との飲み会で、以前習っていたエレキギターをやめたという女友達に理由を訊いたところ「だって意外と重いでしょ?」との返答が。

華奢でほっそりとした体形ながら女子の平均身長をやや超えた体格、僕よりも長い指にも恵まれたヒトなので惜しい話ですが、ストラップ越しに伝わる重量にウンザリしたのでしょう。

このように、弾けないコトを理由にやめてしまう以外に、決して無視できないのがエレキギターの重量の問題であります。

 

持ってみると意外に重たいエレキギター

バンドで扱われる一般的な楽器の中で、重量が問題となるのはエレキギターやエレキベースです。あるいは、アルトサックスなどの管楽器くらいでしょう。

楽器の重量としてはドラムやキーボードの方がはるかに重いですが、ギターやベース、サックスのようにプレイヤーが持ち続けるワケではありません。

むしろ、何の楽器も持たないヴォーカルがマイクを持ち続ける方が、ヘタをすればキーボードよりも上半身の筋力を使うくらいです。

一方、ギターやベース、サックスはストラップでぶら下げて演奏するものですので、楽器そのものの全重量をプレイヤーが支え続けなければなりません。

僕は管楽器の経験が全くないので、一般的なアルトサックスの重量を検索したところ、2~2.5kgが相場とのコトでした。

昭和世代にはおなじみ、バービーボーイズKONTAさんのトレードマーク、ソプラノサックスはさらに軽く、わずか1kgしかありません。

一方、エレキギターは軽い個体で最低3kg弱、重い個体になると余裕で4kgを超えます。

一見コンパクトなルックスですが、持ってみると意外に重たい。それが、初心者が実際に手にして驚くエレキギターの特徴でもあるのです。

ちなみに、エレキベースは平均4~5.5kgというプレイヤー泣かせな楽器であります。

たかが3~4kgと侮るなかれ

一般的なエレキギターの重量はザックリいえば3~4kgに集約されますが、数字だけ示されても「だから何?」と思われるかも知れません。

しかしながら、1時間単位でストラップにぶら下げ続けるコトによって肩から上半身、そして腰へ加わる重量は、さながらボディーブローの如くダメージになります。

ちょっと想像してみてください。2リットルのペットボトル2本を入れた大型ショルダーバッグを背負いながら1~2時間、立ちっぱなしで電車に乗っていたらどうなるか?

われわれギタリストは自宅で座って練習する場合を除き、その重量を抱えながらステージに立ち、直立不動で、あるいは飛び回ったり走り回ったりしながらプレイするのです。

ギタリストの体格は千差万別ですが、みな意外と筋骨隆々としているコトにお気づきでしょうか? エレキギターを弾くのは、想像以上のカロリー消費と筋トレ的な効能があるのです。

中抜きをしていないトラディショナルなレスポールを弾けるだけの体力をつけようなどと、本気か冗談か計り知れない記事もあるくらいです(半分冗談のニュアンスでしたが)。

とはいえ、肩こりや腰痛などはエレキギター弾きが抱える共通の悩みでして、僕のように個体別に重量を徹底的に調査して、その中から最も軽いモデルを選ぶのも1つです。

ただし、軽過ぎるコトによって思わぬ違和感を覚えるコトも。

以前、焙煎加工を施したフェンダーのストラトキャスターを購入したエピソードを綴りましたが、同モデルでも飛び抜けて軽いコトで妙にフワフワした弾き心地に。

試行錯誤の結果、僕にとってのベストウエイトは3.4kgと判明しました。ご参考までに。

大まかな重量はモデルごとに推測可能

大工や家具職人といった木のスペシャリストには常識でしょうが、エレキギターの大半を構成する木という素材には1つの原則があります。知っておいてソンはありません。

それは、硬い素材は重く、柔らかい素材は軽いという木の特性であります。

なぜそのような原則が成立するのか不明ですが、木の種類ごとに硬度が違う以外に、密度の問題があると推測できます。高密度であるほど重くなる道理です。

なお、木の響きも重さや硬さによる傾向があり、硬い木からは硬質で引き締まった響き、柔らかい木からは温かみのあるまろやかな響きとなります。

話を戻し、エレキギターの重量を左右するのはボディを構成するのがメイプルやアッシュは硬い=重い、マホガニーやバスウッドは柔らかい=軽いという原則が成立します。

 

エレキギターの2大モデルを選ぶ際の重量チェック

フェンダー系の重量チェックは単純

フェンダー系のエレキギターを選ぶ場合、以上の法則だけでおおよその重量が推測できます。

年代ごとに重量が違う傾向があるので、ヴィンテージから選ぶ場合は予備知識も必要ですが、現代版USA・メキシコ・国産モデルから選ぶ場合は神経質になる必要はありません。

モデル中で最も売れているストラトキャスターは共通構造ながら素材が多種多様なので、それだけ重量差も生じるコトになります。

一般的なのはアルダー・アッシュ・バスウッドですが、メイプル・マホガニー・ローズウッドなどオーダーメイドや限定モデルもあります。

また、素材ごとの密度差や加工によっても重量差が生じます。僕が購入した焙煎加工モデルですが、本来は重い部類のアッシュを焙煎加工して非常に軽量に仕上がっています。

もう1つ、重量を左右するのがブリッジです。金属で構成されているので最も重いパーツですが、フロイトローズ搭載モデルはその構造上、非常に重くなります。

なお、ムスタングはストラトキャスターより軽くジャズマスターは同程度。ジャガーは重めです。

さらに突き詰めるなら個体ごとにリサーチ。全く同じモデルでも200~300g程度の重量差があります。缶ジュース1本分の違いですが、意外とバカにはできません。

価格差による重量差については、後述するギブソン系のように必ずしも比例しません。

ギブソン系の重量チェックは複雑

一方、フェンダーと人気を二分するギブソン系はモデルごとに重量が大きく異なります。

なぜなら、同じ種類の木を2~3枚で貼り合わせるだけの単純なフェンダーに比べ、ボディ構造上の違いが大きいからです。

例えば、ギブソンの看板モデルのレスポール。カスタム・スタンダード・スペシャル・スタジオ・ジュニアと多種多様ですが、上位モデルはメイプルとマホガニーの合板構造です。

最上位のレスポール・カスタムと一般的なレスポール・スタンダード系は、ボディトップに薄めのメイプル2枚を、ボディバックに厚めのマホガニーが貼り合わさっています。

重いメイプルが薄めで軽いマホガニーが厚めなので重量差が相殺されそうなものですが、高密度の厳選された素材であるためか非常に重い。

ストラトキャスターで3.8kgはヘヴィーですが、レスポールは飛び抜けて軽い個体となります。レスポールの平均的な重量は4・5~5kgが相場ですので。

ところが、レスポール以外のモデルから選ぶなら軽いモデルが目白押し。ルックス的にレスポールよりも重そうなフライングⅤやSGはストラトキャスターよりも軽い。

レスポールがウクレレに見えてしまう巨大なボディを持つセミアコES-335もフェンダー系と遜色ない重量で扱いやすいです。

また、レスポールでも下位モデルとなるスペシャルやジュニアはマホガニーのみの単純構造なので、軽く3kgを下回るほど個体がザラにあります。

レスポールの上位モデルは高密度のマホガニーを厳選して使われているので、逆もまた然りで下位モデルのボディが軽くなる道理であります。

最軽量はリアピックアップのみでストップテールピースが付属しない(オクターブ調整ができないブリッジのみ)レスポール・ジュニアは2kgちょっとの超軽量。

ギブソン系はモデル別の違いもさるコトながら、値段が安くなるほど単純かつ低密度になるため、値段で重量差を測れるといえなくもありません。

最後に、同モデルであっても個体別に重量差があるのはフェンダー系と同じです。