社会福祉士の考察~アフターコロナと相談支援

社会福祉士の考察~アフターコロナと相談支援

新型コロナウイルスがもたらす厄災に何の影響も受けない業界などあり得ないでしょうが、当然、われわれ福祉業界も苦悩の日々を送らざるを得ない状況下にあります。

そんな中、仕事帰りで報道番組を視聴しておりますと、さまざまな業界で生き残りをかけた戦略が連日のように特集として取り上げられています。

最も身近なところでは飲食業でしょうか。客を来店させて美味しい料理を振る舞うスタイルから、料理を宅配したり、ドライブスルー方式を取り上げたりと数々の工夫を凝らしています。

従来の来店スタイルにしても新たな試みが。印象に残っているのは、お酒を提供する店が、ビールサーバーならぬ酎ハイサーバーを導入し、飲み放題をセルフサービスにする事例も。

日本では幸い、犠牲者が世界各国の中でも突出して抑えられていますが、風邪やインフルエンザの予防接種のような特効薬が開発されない限り、自粛生活を強いられ続けると思われます。

カタカナ専門用語が当たり前のように横行している福祉業界に籍を置く者がいうのもナンですが、新型コロナウイルス関連では、ナゼか意図的にカタカナを乱用する向きがあります。

オーヴァーシュート・クラスター・ソーシャルディスタンス・パンデミック・ロックダウン。

感染爆発・集団感染・人と人の物理的距離・世界的大流行・都市封鎖といえば済むものを、敢えて判りづらい表現にする政治家の意図を疑います。オブラートに包むものではないと思うのですが。

話が逸れましたが、シロウトの僕でもハッキリ判るのは、「新型コロナウイルスがもたらす厄災が想像以上に長期化するのは間違いない」というコトであります。

 

時流に逆行せざるを得ないのがソーシャルワーカーの仕事

いわゆる「3密」が集団感染の元凶とされ、人と人との物理的距離を確保するコトの重要性から、テレワークやリモートワークが奨励されるようになりました。

いずれも発達した情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のコトを意味します。例えば、会社のオフィスではなく在宅で仕事をする就労スタイルが該当します。

通勤しなくても済むので、ラッシュアワーでスシ詰め状態になりながら電車に乗る必要がなくなるヒトが多くなります。通勤時間を休息あるいは仕事に充てるコトができるでしょう。

アフターコロナの新しい就労形態としても有効だと思います。オフィスの賃借料と通勤手当の削減、通勤時間の有効活用、満員電車に乗らざるを得ない心身ストレスの解消とイイコトづくめ。

一方で、インターネットや携帯電話の通信料に充てる手当の支給や新たな人事考課の基準が必要になるでしょうが、ウイルスがもたらす社会変革の流れは止められないと思われます。

ところが、われわれ福祉業界は上記のような時流に反する前近代的な古き良き(あるいは古臭い)就労スタイルを維持せざるを得ない状況にあります。

その理由を敢えて語るまでもないでしょう。福祉の仕事とは電脳世界だけでは決して収束しない、生身の人間と向き合う仕事だからです。

 

相談者と直接会って話をする、それがソーシャルワークの鉄則

デスクワークにおいて、今のご時世、手書きですべてこなすのは時間のムダかつ非効率化の極み。ソーシャルワーカーはみな、パソコンを最大限に活用した事務処理が求められます。

サービス等利用計画(介護保険におけるケアプラン)やモニタリング報告書、相談支援記録や情報提供書の作成に至るまで、もはや機械入力が当たり前となっています。

相談支援給付費(高齢者福祉でいう介護報酬)の請求についても、手書きやフロッピーディスクで行う事業所など皆無。都道府県ごとの国保連合会への請求は電子請求がほぼ100%でしょう。

しかしながら、相談支援のプロたるソーシャルワーカーの本来業務はヒトとヒトが直接向き合い、お互いの表情を視覚にとらえ声音を聴覚でとらえながら言葉を交わすコトであります。

もちろん、面談しながら相談支援を行うばかりがソーシャルワークではありません。電話やメール、場合によってはファックスを駆使するコトだってあります。

コロナウイルス感染予防のために自宅訪問をせずに相談支援を行うコトもありますし、障害特性を勘案した上でこれらのツールを活用するコトもあります。

例えば、統合失調症で気分の浮き沈みが大きいケースで、面談できる体調でない状況だった場合は面談以外の手段をもって意思疎通をする必要があります。

あるいは、聴覚障害があったり発語ができなかったりするために電話が使えず、代わりにメールやファックスを活用するケースもあります。

以上の例外はあっても、相談支援の基本は「自宅訪問し、直接面談しながら相談者の話を聴く」であります。福祉分野が違ったとしても、相談支援における原則は全く同じなのです。

 

コロナ禍が終息後も、相談支援の基本を変えてはいけない理由

新型コロナウイルスの猛威は、人類共通の強敵に勝利し得る特効薬が開発され、全世界に流通するまでの間は決して収まるコトはないでしょう。

これから灼熱の夏が訪れますが、それでもなお息苦しいマスクを着用し続けなければならないのは明白であります。手洗いとうがい、3密を避けるための配慮も継続せざるを得ません。

こうしたご時世ではありますが、僕らソーシャルワーカーは時代に逆行した、3密になりかねない状況下での相談支援を継続しなければなりません。そうせざるを得ないからです。

なぜなら、担当ケアマネが直接向き合うコトによって成り立つ、というより「そうしなければ成り立たない」仕事だからです。

電話やメール、ファックスだけでは、相談者の体調や精神状況を正確に把握するコトはできません。つまり、相談者がリアルタイムで困っているコトを把握するコトができないのです。

今すぐ受診しなければならない状況なのに、病院ギライなので行きたがらない

病院に行かねばならない状況なのに、そういう常識的な判断ができない

金銭面で何か困りごとを抱えているかもしれない

障害年金の現況調査を放置、減額された保護費だけで喰い詰めた状況で公共料金が未払いに

風邪やインフルエンザに罹患し、意識朦朧としてベッドから動けず受診もできない

天涯孤独で身寄りがなく、あるいは関係性が悪くて頼れる家族がいない

以上はほんの一例ですが、こうした状況下で困っている相談者の窮状をキャッチするためには自宅へ出向き、直接ご本人と会わなければ気付かず見過ごしてしまう場合が多いのです。

だからこそわれわれ障害者ケアマネは罹患のリスクを背負いながらも安否確認のために旧態依然とした就労スタイルを変えるコトはできませんし、また、電脳化や合理化をしてはいけないのです。