Made In Japan Hybrid 68 ストラトキャスターの購入レビュー
- 2020.06.27
- エレキギター

キャッシュレス決済の5%還元の駆け込み需要ではありませんが、すっかり国産フェンダーの魅力に取りつかれて2本目のストラトキャスターを購入しました。
イングヴェイ・マルムスティーンが愛用する、ラージヘッド仕様のストラトキャスターが欲しいと思っていたところ、Made In Japan Hybrid 68 Stratocasterに興味が湧いて思わず購入。
新型コロナウイルス感染予防の観点から、少々バクチ打ちとなりましたが主要諸元から読み取れるデータだけを頼りに、1本目と同様に今回も試し弾きせずにネット通販を利用。
当ブログで数回ご紹介した1号機、Limited Roasted Stratocasterの記事を併せて一読いただき、今回は1号機との違いを中心にレビューしたいと思います。
続・Limited Roastedストラトキャスターのレビュー→コチラ
ちなみに、カラーリングはチャコールフロストメタリックを選択。
ヴィンテージのルックスと現代的な演奏スタイルを両立
国産フェンダーの独自シリーズの1つ「Made In Japan Hybrid」は、本家フェンダーUSAの古き良き時代のフォルムを再現し、現代的な演奏法にも対応しようという試みがなされています。
そのため、ヴィンテージシリーズのチョーキングで音が途切れやすくなりがちな184Rではなく、250Rの指板ラジアスが採用。程よい指板アールは多様な演奏に対応できます。
また、ネック裏の塗装がサテンフィニッシュなので汗で滑るコトなくホールドしやすく、2点支持トレモロユニットは6点支持よりもスムーズかつ軽い力でアーミングを使えます。
僕のようにヴィンテージのルックスを踏襲しつつ、ストラップを肩にかけてスタンディングしても弾きやすいストラトキャスターを探す方にオススメのシリーズであります。
令和2年6月現在、ヴィンテージ版の特性が色濃い50年型、汎用モデルとして最も多彩なカラーリングを誇る60年型、そしてラージヘッド仕様の68年型の3シリーズがあります。
ちなみにラージヘッドは68年型と70年型に大別されますが、70年型の大きな違いはジョイントプレート形式。一般的には4本止めの長方形ですが、3本止めの二等辺三角形になっています。
ラージヘッド仕様を選んだのはルックス上の好みとナット幅が狭いところ。50年型や60年型は42.5ミリですが68年型は40.5ミリ、細めのシェイプが弾きやすいと思ったからです。
では、実際に購入して弾いてみたらどうだったかというと、ネック幅が細い恩恵は感触としてほぼ皆無。1号機と弾き比べると違和感の方が大きく、ネックシェイプの違いの方が顕著でした。
1号機のネックは限定モデルというコトで、通常のシリーズにはない「モダンCシェイプ」というタイプ。通常のCシェイプよりもさらにネック裏がフラットになっています。
一方、2号機のネックは50年型や60年型と共通タイプの「Uシェイプ」。ネック裏がCシェイプよりも厚みがあります。Cシェイプが楕円、Uシェイプは真円なのです。
手が大きく掌にピッタリ収まる、通常の成人男性の手の大きさに最もフィットして弾きやすいのがUシェイプです。だからこそ汎用モデルの中で最も多く採用されているのでしょう。
ところが、僕のように手が小さく指が短いギタリストの場合、Uシェイプですとネック裏の厚みで指先が指板から遠くなって弾きづらく感じてしまいます。
この違いはコンマ数ミリという微妙なものですが、特にスタンディングで演奏する場合にその差が顕著になります。
すなわち、Cシェイプなら届いていたのに、Uシェイプだとストラップを短めにリセットしないと届かないという困った状況が起こるのです。
いちいちストラップを調整するのは煩わしいですので、ココは1号機と2号機、それぞれの弾き方をネックシェイプに合わせて変えた方が合理的となります。
弾き分け方のキモとなるのはネックの握り込み。普段、親指で6弦側を握り込むのが弾きやすいのですが、Uシェイプでは親指で握り込まず、ネック裏に添えるように持ち換えるのです。
もう1つ、Uシェイプの場合、人差指と中指の付け根がネックシェイプで干渉してくるので、その違和感に慣れるコトが求められます。
モダンCシェイプに慣れてしまうと、このあたりがモコっとして当たる感じがするのです。特に、低音弦を押さえる場合に届きづらさを感じてしまいます。
もっとも、ここまで綴った内容はスタンディングで弾く場合の対策であります。座って弾く分にはいずれも指先がラクに届くので、ネックシェイプの違いはあっても演奏性に大差ありません。
セカンドギターに最適なハイコストパフォーマンス
購入してから日が浅いのですが、2号機の特性に少しずつカラダが順応してきました。
1号機とのネックシェイプの違いは、いずれ弾き込んでいくうちに掌に馴染んでいき、いま感じている違和感はいずれ払拭されるコトでしょう。
2点支持によるトレモロユニットは1号機と同じフィーリングですし、21フレット仕様のネック、メイプル指板、これらのスペックは同一。それでもなお1号機と2号機は別物。だから楽しい。
とはいえ、高価だった1号機と廉価版(それでも定価は税抜で108,000円)を比較すると、価格と質感は正比例するという当たり前の事実を痛感。
ボディやネックの塗装の質感、ネックジョイント周辺の加工精度、ピックガード周辺のネジ止めの仕上がり、それらを含めたトータルバランス。クラフトマンの熟練と丁寧な仕事が伺えます。
もちろんエントリーモデルと比較すれば2号機の方がイイと思えたのでしょうが、1号機の前にはどこか色褪せるというか物足りなさを感じてしまいます。ゼイタクな話ですが。
1号機は税別150,000円ですので、たかが4万円ちょっとの違いでココまで印象が変わってしまう。多少ムリをしてでも、後で買い直すくらいなら高い方を選べという教訓でしょう。
しかしながら、今回は廉価版のセカンドギターを物色した結果で選んだものですので、後悔はありません。逆に2号機の方が良かったらどうしようと思っていたくらいなので安心した次第です。
半音下げチューニングで演奏するコピー曲や、半音下げチューニングがスタンダードなインギーの速弾き練習用として、68年型ラージヘッドの2号機は新たな僕の相棒になりました。
メインギターの1号機に比べると見劣りがしてしまうものの、実勢価格12万円ほどで購入できる他ブランドのエレキギターよりもコストパフォーマンス的には上をいっています。
予算的にちょっと上回るフェンダーUSAを選ぶより、Made In Japan Hybridを選んだ方が賢明といえるでしょう。
「そう高くなくて、使えるストラトが欲しい」というギタリストにオススメのシリーズです。
最後に余談ですが、実質的に初となるメイプル指板を購入しての感想をひとつ。
1号機はネックも指板もメイプルですが、ボディと同じダークブラウンに統一。手触りや弾き心地も2号機と微妙に違うのですが、それ以上に違和感があるのが色そのものでした。
というのも、僕は30年あまりのギター歴の中でメイプル指板を購入するのが2回目、うち1回はローズウッドとほぼ同じ色合いでした。
ところが今回は純粋無垢なメイプル指板、ややイエローがかったホワイト。ところが何か視覚的な違和感がありました。「何だろう、この見づらい感覚?」。
その正体はポジションマークの色でした。黒なのです。
「だから何!?」と思うでしょうが、これまでは黒い指板に白いポジションマークしか見たコトがなかったのです。自分でもナゼなのか判りませんが、コレがどうも視認しづらい。
世に出回っているエレキギターの8割以上には黒っぽい指板が採用されています。メイプル指板を採用しているのはフェンダーくらいのものです。
まさか白黒が逆転しただけでココまで見づらいと感じてしまうとは思いませんでしたが、予想だにしなかった貴重な経験でしたので、今後のご参考まで。
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