エレキギターの速弾き「流れるようなフレージング」を会得する
- 2020.09.13
- エレキギター

苦節30年あまり、いちどは完全に諦めたものの、運命のイタズラでバンドの一員となり、エレキギターが好きで弾き続けてきた積み重ねの日々。それが、ようやく報われてきました。
もちろん世界中にいるフォロワーには遠く及ばないものの、知っているヒトに聴かせれば「アレ、それってイングヴェイだよね?」と気付いてもらえるレベルに到達。
絶対に弾けないと思いつつ、「ヤングギター」2014年7月号に掲載された「トリロジーOP5」に再挑戦してから6年。2弦スウィープができるようになってきました。
1曲さえ弾ければ全曲弾ける、あるいは1曲ダメなら絶対弾けないといった「全曲が難曲」なのがイングヴェイ・マルムスティーンの速弾き。つまり、僕にも道が開けたワケです。
そんなワケで、高校当時どうしても弾きたかった曲の1つ、「デーモン・ドライヴァー」のソロ。様式美に満ち溢れた3弦スウィープが展開する速弾きがモノにできる手応えがあります。
そこで今回は、「何となくソレっぽく弾けるけど、ところどころ巧く弾き切れない」レベルまでは速弾きができるようになったギタリスト向けのテーマをひとつ。
イングヴェイ・マルムスティーンの速弾きを例に、彼の最大の魅力といえる「流れるようなフレージング」の神髄に迫るためのアプローチ方法を綴りたいと思います。
流れるようなフレージング、その成否は「要所できちんと音を止められるかどうか」
流れるようなフレージングなのに音を止める。一見、テーマに矛盾したタイトルに思えます。
「流麗な速弾きを目指しているのに、音を途切れさせてどうする?」としか思えないでしょうが、1つのメロディラインを構成する起承転結や緩急をふまえて弾けるかどうかを意味します。
メロディラインを、文章における改行や句読点に置き換えて考えれば判りやすいでしょう。
例えば、改行や句読点が一切ない小説をイメージしてみて下さい。読みづらくなるばかりか、文脈の流れや勢いすらスポイルされるものです。
文章も音楽も同じコトです。それら全体の流れの中には、必ず止まるべき要所があるのです。
能書きはこの辺にしておいて、以下、イングヴェイ・マルムスティーン(以下「インギー」と略)のギターソロの定番、スウィープピッキングを例に解説します。
メロディライン、一連の流れの中に必ずある「休止のタイミング」を正しく把握
インギーのスウィープピッキングですが、2弦スウィープも3弦スウィープも同じ3連符を基本とします。つまり、1つの拍子に3つの音「タタタ・タタタ・タタタ」と展開します。
こうして考えると、インギーのスウィープは4拍子で12音を鳴らすコトになります。ところが、メロディラインは3つの音が4つで途切れるのではなく、6つの音が2つで展開しています。
2弦スウィープと3弦スウィープ、メロディラインのイメージとしては…
2弦スウィープ:同じ3連符のフレーズが2回ずつ繰り返しながら展開
3弦スウィープ:音階が下がる3連符+音階が上がる3連府が2回ずつ繰り返し展開
活字で表現すると、上記のような音階が展開していくのです。
弾き方のアプローチやメロディラインに違いはありますが、今回のテーマに照らし合わせると…
いずれのスウィープも、メロディラインは「3連符×4」ではなく「6連府×2」
インギーのスウィープを弾きこなす上で絶対に知っておくべき大原則がここで判明しました。
すなわち、メロディラインを意識して弾くならば、12音をただ平坦に弾くのではなく、6音ごとしっかりと区切りをつけて弾かなければならない。
そうなると必然的に、一連の速弾きを同じリズムでプレイしつつも、「6音ごとに音を止める」という意識でピッキングとフィンガリングを展開するコトになるのです。
速弾きの初心者がコピーする場合、その怒涛の速度で展開するピッキングと難解なフィンガリングに追いつこうと必死になり、フレーズの流れを意識から飛ばしがちになります。
しかしながら速弾きの上達の早道こそ「急がば回れ」でして、超絶技巧だからこそ、正しい理解を念頭に置きながら練習した方が圧倒的に早く弾けるようになります。
まずは3連符×4拍子ごとに練習し、最後に6連符×2として速弾きをモノにする
正しい理解がなくては、いつまで経っても流れるようなフレージングは会得できません。
ただチャカチャカ慌ただしく弾こうとしているだけで、「なんかインギーと違う」「同じ弾き方をしてるハズなのにインギーっぽく聴こえない」といった自己矛盾に陥ります。
この自己矛盾に気付いたのは、インギー本人が自身の速弾きをスローで弾きながら解説するVTRを視聴したコトによります(実際は、1/2テンポでも全然スローではないのですが)。
その映像は3弦スウィープの実演でしたが、何度も繰り返し視聴していくうちに、流麗な速弾きでありながら、しっかり曲の流れに応じて音を止めているコトに気付いた次第です。
そこでまずは1/2テンポで、しっかりメロディラインを意識して6連符×2の繰り返しを脳裏に浮かべながら練習を開始。そして実際のテンポで弾いてみる。コレが数年も続きました。
3連符のフレーズを4つごと区切りながら、ゆっくりと、丁寧に、ピッキングとフィンガリングの練習を繰り返す。
そして、フルスピードでもリズムに付いていけるだけのテクニックが両指に覚え込ませたら、次は怒涛の速弾きを展開しつつも要所でしっかり音を止めながら弾き切るのみです。
最後に、インギーの2弦スウィープと3弦スウィープのポジションや運指のやり方については過去ブログで紹介しています。併せて、お読みいただければ幸いです。
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